公募に関するQ&A集

私たちは、物質共生に至るまでの過程を物理化学的に解明し定義することを目指しています。生体内に人工物(マテリアル)を取り込みながら共に生きていく時代の到来を見据えて、敢えて「共生」という表現を用いました。公募班の方々とともに「物質共生学」という新しい学問分野を確立し、領域終了後にこの分野の最初の教科書を書き始めることが出来れば嬉しいです。そのような熱意ある方にご参画いただきたいと思っております。
なお、公募要領等については、(令和4年度)文科省のサイト (令和5年度)文科省のサイトにてご確認ください。


0.総論的なもの

Q1: 共生に貢献する弱い相互作用とは、どのようなものですか?すでに知られている相互作用は、強い相互作用なのではないでしょうか?
A1: 弱い相互作用は、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力などの協働効果によりもたらされると考えられますが、最初はそういった個別のパラメーターでなく、その協働効果を示す様な、もう少し包括的なものにフォーカスしていくと思います。平衡解離定数、速度論的パラメーター、熱力学的パラメーター(エントロピー、エンタルピー)なども重要であると考えます。その弱さゆえにこれまでは検出が難しかったものを想定しており、このため、A01は弱い相互作用の定量解析や物理化学的解析を可能にする種々の解析技術を備え支援します。
また、すでに認知されている強い相互作用も、弱い相互作用の協働効果によりもたらされると考えられます。強い弱いにかかわらず、その相互作用が物質共生に関与しており、その詳細を解き明かす研究(A01, A02)や、それを物質の共生に応用する研究(A03)は、対象となります。

Q2: 領域に合致していることはもちろん大切と認識していますが、テーマそのものとしてはかなり自由に考えて良いでしょうか?
A2: 物質と生体の共生の促進に関わるものでしたら、ぜひ自由に発想していただいて結構です。

Q3: テーマが複数の班にまたがってしまっても構いませんか?
A3: 相乗効果をもたらすと期待されるので、歓迎します。ただし、申請に際しては、いずれかの班を選択してもらう必要があります。

Q4: 自身の実績に基づいた提案である必要がありますか?
A4: 2年間でその目標を達成できることが合理的に判断できるようでしたら、大きな実績がまだなくともご応募頂ければと思います。

Q5: 年齢制限はありますか?
A5: ありません。科研費応募資格があれば結構です。

1.計画班A01に関するもの

Q6: 魅力的な測定装置をたくさんお持ちと思います。ぜひ、コラボして使わせていただきたいのですが、コロナ禍の状態が続くとなると、なかなか訪ねられない気もします。そちらで測定していただく前提で応募してもよいですか?
A6: もちろん、その旨をご連絡いただければ。こちらで測定することに関しては、いつでもウェルカムです。

Q7: コロナ禍が落ち着いたら、コラボさせていただき、ぜひそちらで実験手技から習いたいです。かなり長期間になると思うが、そちらの研究室に受け入れていただける体制はあるのでしょうか?
A7: 当領域では、主としてA01班の北海道大学、北九州市立大学に解析支援拠点を設けます。北海道大学の近隣にビジネスホテルが多数あるので、そこをご利用いただければ長期間での技術習得にはよいかと思います。北九州市立大学には来訪者用の安い宿泊施設が学研都市内にありますので、そこを利用いただければ(予約等は計画班で対応します)、長期間での技術習得には都合が良いと思います。

Q8: 液中での計測の場合、弱い相互作用は、測定濃度レンジは高くなると思います。一方で、ご紹介いただいたようなイメージングなどでは、細胞表面での少ない分子を観察しているかと思います。溶液中での、薄い濃度での弱い相互作用というものも想定されていますか?
A8: 確かに溶液物性の際、高濃度での測定が余儀なくされることがあるかと思いますが、高濃度の時と低濃度の時では、生体の応答は異なると予想されます。希薄溶液中での溶液物性を測定できる新しい評価法をご提案頂けることを期待しています。

2.計画班A02に関するもの

Q9: 膜タンパク質と物質の(免疫系の)弱い相互作用が中心のように感じましたが、細胞内の生体分子の弱い相互作用も研究対象となりますか?
A10: 対象になります。核酸センサなど、細胞内で働くものも知られています。

Q10: 免疫のうち、自然免疫にフォーカスしたような研究も対象になりますか?
A10: 自然免疫も対象になります。さらに、現時点で、免疫現象として認識されていないものであっても、対象になります。

Q11:弱い相互作用ということでしたが、例えば結合定数(Kd)でいうとμMやmMという理解でよろしいですか?
A11: 弱い相互作用の範囲はmM-μMの解離定数程度と想定していますが、この値に限定されるものでもありません。強い相互作用であっても、本領域の問いである「物質共生とは何か」の解明につながるテーマであればよいです。

Q12: コスモトロピックイオンの効果や、疎水性水和についてのような間接的な相互作用も、対象になりますか?
A12: 生体内環境を意識したうえで、弱い相互作用に貢献するものであれば、もちろん対象になります。

3.計画班A03に関するもの

Q13: 免疫を活性化する材料(アジュバント)はスコープに入りますか?
A13: 活性化は物質の排除が目的であろうから、材料の共生とは逆の考えになりますが、物質の共生を実現する過程で、アジュバントが必要であれば、それは対象になると考えます。

Q14: 材料と組み合わせず、微生物・細胞・組織のみを対象とする場合でもスコープに入りますか?(例えば、微生物や細胞に共生促進するサイトカインを分泌させる。Treg、MSCなどの寛容細胞を移植するなど)
A14: 共生を達成する弱い相互作用が明確でないので、本領域には適当でないと考えます。ただし、これらの共生の原理を明らかにして、材料の共生に応用するというものであれば、対象になります。


なお、オンラインにて開催した令和3年度公募説明会の収録動画をこちらからご覧いただけます。あわせてどうぞ。
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