領域共催で「The 7th Gratama Workshop(日蘭二ヶ国ワークショップ)」を開催しました(2023.05.10〜12)

令和5年5月10日(水)〜12日(金)、「The 7th Gratama Workshop(日蘭二ヶ国ワークショップ)」を長崎ブリックホールにて開催いたしました。
このイベントは、我々の「学術変革領域(A)物質共生」、そして「学術変革領域(A)デジタル有機合成」、「学術変革領域(B)多元応答ゲノム」の、3領域共催シンポジウムです。

21世紀の人類が直面している環境問題を解決し、持続可能な社会を築くために、化学や化学技術およびバイオテクノロジーの役割はかつてないほど重要性を増しております。これらの分野において日本の化学者や生化学者は数々の独創性の高い成果を挙げ、常に先導的役割を果たしてきました。その基盤を築いた一人が幕末から明治にかけて来日したオランダ人化学者ハラタマ(K.W. Gratama: 1831-1888)博士であります。ハラタマ博士は、1866年から5年間日本に滞在し、1866年に長崎の「分析窮理所」に入所し、日本初の体系的な自然科学教育を行い、さらに1869年に理化実験棟をもつ学校「舎密局」を大阪城前に開設し、講義と実験による本格的な近代化学を日本に最初に導入しました。本ハラタマワークショップは、ハラタマ博士の功績を記念し、2000年に大阪で開催された以降、オランダと日本で交互に開催されてきました。そして今回、このハラタマワークショップの趣旨に従い、日蘭両国のゆかりの地である長崎市にて第7回ハラタマワークショップを開催する運びとなりました。
冒頭に、深瀬浩一組織委員長(大阪大学・教授)と山吉麻子組織委員長(長崎大学・教授)による開会の挨拶の後、エリック・ファン・コーイ参事官(オランダ王国大使館)から今後の日蘭の化学と化学技術の交流と連携の重要性についてご祝辞を頂きました。
その後の講演では、従来の有機化学やケミカルバイオロジーの分野に加え、新たな創薬モダリティに用いられる製剤材料の開発、マテリアルと生体との物質共生を実現しうる機能性分子の創製、有機合成におけるデジタル化プラットフォームの構築などを主題とした最新の研究成果が発表されました。

本ワークショップは地方開催にもかかわらず、国内参加者97名、オランダからの参加者14名の計111名の参加者を数える盛会となりました。
5月12日の閉会式では、パトリシア・ダンカース教授(アイントホーフェン工科大学)から、次回ハラタマワークショップの開催に言及があり、今後も日蘭の交流を持続させる意向が示されました。
今後、本シンポジウムで得た知見や議論が、領域の研究推進に貢献することを期待しております。

(文責:領域代表 山吉麻子)

*当ワークショップの詳細や当日の写真等については、こちらのサイトをご覧ください。