第40回日本DDS学会学術集会にてシンポジウムを開催しました(2024.7.10)

令和6年7月10日(水)、第40回日本DDS学会学術集会にて、学術変革領域A「物質共生」の協賛で、「生体適合性から物質共生へのパラダイムシフト」と題してシンポジウムを開催しました。これまで、生体適合性の材料は、PEGに代表されるように、免疫系に認識されないことを目指したものでしたが、近年、その難しさが明らかとなり、認識の回避ではなく、免疫寛容に基づいて、材料を生体と「共生」させる戦略が注目されています。本シンポジウムでは、そのよう研究をされている5名の演者にご講演いただきました。免疫寛容を目的として、しかし全く異なるアプローチのご講演に刺激を受けました。材料に注目した山吉先生のエキソソーム、戸井田先生のフォスファチジルセリンのご研究にはじまり、組織再生を促す生体組織(バイオチューブ)に関する中山先生のご研究を紹介いただきました。バイオチューブは、糖尿病による壊死組織を再生するという能力があることに会場がどよめきました。一方で、生体の寛容誘導現象に関する髙橋先生の腸管免疫、伊藤先生の脳内のTregの抗炎症効果に関するご研究をご紹介いただきました。物質共生を達成するための多くのヒントをいただいたように思います。

  1. 山吉麻子(長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科):人工核酸の物質共生を可能とするエクソソーム随伴型DDS
  2. 髙橋大輔(慶應義塾大学薬学部):腸内細菌-宿主の共生関係構築と物質共生への応用
  3. 伊藤美菜子(九州大学生体防御医学研究所アレルギー防御学分野):脳内炎症の制御戦略
  4. 中山泰秀(バイオチューブ株式会社):生体内組織形成術は異物から共生医療材料を産む
  5. 戸井田力(産業技術総合研究所):リン脂質PSを活用する物質共生の促進戦略